交通事故で弁護士に相談すべき理由・メリット・デメリット・選び方

交通事故の被害者が事故により怪我を負った場合、弁護士に依頼することは交通事故被害者の正当な権利を加害者に請求するのに大変意味があります。

加害者側は弁護士が必ずつくわけではありません。実は加害者側の窓口となる保険会社の担当者は、加害者の味方として一年中交通事故の損害賠償のやり取りをしており、いわば交通事故の交渉に長けています。

しかし被害者は一生に一度あうかあわないかの交通事故被害ですから、当然自分の慰謝料や損害賠償の相場を知りません。さらに加害者の保険会社は、被害者自身が調査をして正当な損害賠償を求めても、素直には応じないのが通常です。

そこで被害者の側も損害賠償請求はもちろん法律のプロフェッショナルである弁護士を味方につけ、加害者側と示談交渉にのぞむと、加害者側もようやく正当な賠償金をベースに交渉に応じてくるというケースが大変多いのです。

目次

交通事故でなぜ「弁護士」に相談すべきなの?

交通事故で怪我をしたり、不幸にもご家族が死亡事故の被害を受けた場合、なぜ弁護士に相談すべきなのでしょうか。行政書士や司法書士でなく弁護士に相談すべき理由は、なぜでしょうか。

例えば行政書士は書類の作成が主な仕事です。後遺障害の等級認定において、書類をそろえて出してくれることはできます。しかし等級認定に争いが生じた途端に、法律上の制限があるため、仕事ができなくなります。弁護士以外は、行政書士や司法書士が相手方と交渉をすることは基本的に法律で禁止されています。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。(弁護士法72条)

金額や場面に関係なく、弁護士であれば存分に交通事故被害者の代理人として相手方と交渉し、交通事故被害者のため最大限の権利の回復を行ってくれます。このような観点から交通事故で被害を受けたら、弁護士に相談すべきといえます。

交通事故の無料相談をしているのは弁護士だけ?

交通事故無料相談を行政書士も行っていたりします。しかし交通事故の加害者側は、交渉をしないと被害者に十分な権利補償をしない慣習があります。

行政書士は?

行政書士は無料相談を行い、有料で書類作成・提出はしてくれますが、その後の肝心の加害者側の保険会社との交渉はできません。示談交渉を弁護士に改めて依頼すると、報酬が行政書士に対しても弁護士に対しても必要となってしまいますので、最初から弁護士に相談することが交通事故被害者にメリットがあります。

交通事故を弁護士に頼むメリット

金銭面のメリット

交通事故で死亡・怪我の被害を受けた場合、弁護士に依頼するメリットは、まず、弁護士に依頼するのにかかる費用を差し引いても交通事故被害者に戻ってくるお金が増えるという点があります。

精神面のメリット

さらに、交通事故被害者にとって、加害者側の保険会社担当者との電話などもストレスが大きいものです。このやりとりも弁護士事務所が交通事故被害者に代わって代理人として行ってくれる点の精神面でのメリットも、実は大変大きいものです。

損得に関するメリット

また、逸失利益の請求、後遺症が残った場合の後遺障害等級認定が妥当かプロとしてアドバイスをくれます。損得に関する被害者のためのアドバイスがもらえるメリットも大きいです。

技術的なメリット

後遺障害の等級認定に納得いかない場合はレントゲン画像やMRIなどの各検査結果資料、カルテや医師による意見書など医証を準備し、事故態様に関する書面、的確な主張ととともに自賠責保険会社に異議申し立てを行うことができます。専門的な知識と豊富な経験に裏打ちされた、技術的なサポートをもらるメリットも大きいです。

交通事故を弁護士に相談するデメリットは?

交通事故の被害にあった場合に、弁護士に相談することのデメリットは、実はほぼありません

金銭面のデメリットはある?

弁護士費用デメリットと言われることが多いですが、実際は加害者の損害保険会社が被害者に支払う金額が弁護士に依頼した場合の方が上がることが大変多く、弁護士に依頼しない場合よりも依頼したほうが弁護士報酬を差し引いても被害者に入ってくるお金が多いことがとても多いのです。

精神面のデメリットはある?

さらに加害者側との示談交渉を行ってもらえますので、ストレスが軽減されるため、精神面ではメリットが大きく、デメリットは少ないといえます。

損得に関するデメリットは?

被害者が損をしないように全体的に適切な法的アドバイスももらえます。損得に関するデメリットもないといえます。

以上の通り、交通事故を弁護士に相談するデメリットはとても小さいと言えます。

交通事故を弁護士に相談すべきタイミングは?

事故直後のタイミング

交通事故が発生した直後は、通院もしくは入院をして、きちんと怪我の治療をしましょう。もし併行して時間的に余裕がある場合は、治療中・通院中から相談を受けてくれる弁護士に相談すると良いでしょう。早いほど被害者が損をしないようにアドバイスを貰えるタイミングが早まります。

症状固定のタイミング

もし症状固定と主治医に言われたら、弁護士に相談しましょう。後遺障害の等級認定をサポートしてくれる弁護士が良いです。医療知識が必要で、後遺障害の等級認定獲得実務に長けた弁護士法人がおすすめです。

示談交渉のタイミング

加害者の損害保険会社から示談金の提示があったりしたら、ぜひすぐに交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。このタイミングは非常に重要で、加害者と弁護士基準で交渉することなど弁護士でないとできないことがあります。

交通事故の弁護士の探し方は?

各地域での探し方

北海道、東北、関東、近畿、中部、四国、中国、九州など各地域から弁護士を探す場合、各地域の弁護士会で探す方法があります。

オンラインでの探し方

検索エンジンで探す

インターネットの検索エンジンで「交通事故弁護士」などで検索してみれば、交通事故に強い弁護士が見つかるでしょう。そのなかからオンラインでご自身の地域の相談に対応してか探す方法があります。

弁護士ポータルサイトで探す

弁護士ドットコム(東証グロース 6027)など、弁護士のポータルサイトで、ご自身の地域に対応している弁護士を探す方法もあります。

交通事故の弁護士の選び方は?

交通事故に強い弁護士の選び方は、

  • 弁護士のホームページに交通事故の業務に関して詳細な情報が掲載されているか
  • 交通事故の解決実績が多いか
  • 交通事故の被害者救済に力を入れているか(加害者側ではないか)

が重要となります。

交通事故で加害者側に弁護士が出てきたら

加害者側は保険会社の社員が担当者となり、被害者と交渉・やり取りを行うことが多いです。もし

交通事故の弁護士基準とは?

弁護士基準とは

交通事故の損害賠償における「弁護士基準」とは、交通事故の損害賠償における3つの基準自賠責保険基準任意保険基準弁護士(裁判)基準)のうち最も高額な基準で、弁護士が加害者と交渉することでベースとなる裁判の判決を得た場合の相場をもとに計算する交通事故被害者に最も有利な基準のことです。

弁護士基準で加害者と交渉するには

交通事故被害者に最も有利な弁護士基準ですが、この基準で交渉をするには、弁護士に依頼する必要があります。

交通事故の弁護士報酬の相場は?

交通事故の弁護士報酬の相場は、経済的利益の10%前後ということが多く、交通事故被害者が弁護士に支払う費用のトータルではそれに加えて、着手金もしくは20万円前後の費用が加わることが多いです。

経済的利益とは

経済的利益とは、交渉や裁判により被害者が手に入れた金額の総額のことです。

交通事故の過失割合は、弁護士で変わる?

過失割合とは

過失割合とは、事故発生に寄与する過失が加害者に何%あって、逆に被害者にも何%の過失があるかを表す割合です。

100%が10割ですので、例えば「あなた(被害者)に1割の過失割合がある」といわれる場合は、加害者に9割(90%)の過失があるけど、あなた(被害者)にも1割(10%)の過失があるよ、あなた(被害者)も10%は悪いのですよと言われていることになります。

過失割合の影響

損害賠償の金額に過失割合をかけて被害者が受け取る金額が決まりますので、過失割合は重要です。ただし最終的に受け取る金額がもっと重要ですので、場合により交渉のひとつとして過失割合は若干の譲歩をしつつ他の費目で有利になることで最終的な受け取る金額が増える場合もありますので、総合的な視野をもつことも大切です。

過失割合の決定方法

過失割合は過去の判例の蓄積などをまとめた書籍「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版] 別冊判例タイムズ38号 別冊38号」などで合意される場合が多いので、過去の判例と異なる主張はなかなか認められないという現実もあります。

過失割合10:0

加害者の保険会社から「 過失割合が10:0」と言われた場合、被害者の過失割合はゼロです。そのため弁護士に依頼してもこれ以上過失割合が有利になることはありません。被害者の車が信号待ちで完全に停止中に、後ろの加害者の車が追突してきた追突事故などは、被害者の過失はゼロで、過失割合が10:0となる場合が多いです。

過失割合9:1

過失割合が9:1と言われた場合、被害者に10分の1過失があると加害者は考えているということです。加害者側の保険会社が被害者に伝えてくる過失割合は決定ではなく加害者側の考え方です。そのため1割被害者にあると言われている過失割合をゼロにするという可能性もゼロではありません。

過失割合 8:2

加害者の保険会社から、過失割合が8:2(被害者が2)と言われたら、2割の過失が被害者にあると言われています。仕方がない場合も多々あるものの一度弁護士に本当に8:2なのか相談すると良いでしょう。それで弁護士が被害者の味方として8:2だというなら裁判を起こしても結果が変わらない見込みだということです。

注意事項としては、仮に過失割合が8:2から9:1などに修正されても、そのかわりにそれまで被害者に有利に算定していた他の費目の算定方法を加害者に有利に変更して、結果として金額の総額が変わらないか場合によっては減らしてくる加害者側保険会社もいますので、最終的な損害賠償金額も視野に交渉にのぞむ必要がある場合があります。このようなことは交通事故に詳しい弁護士であれば予想がつくことも多いので、自分の弁護士(被害者側弁護士)の助言に従うのが結果として良い場合も多いです。

交通事故の被害者は弁護士に依頼した方が良い?

軽症の場合

かすり傷で、痛みも全く残っていない場合は、弁護士に相談するメリットは少ないです。

骨折した場合

交通事故で骨折した場合は、ぜひ弁護士に相談して、ご自身に不利益がないか相談しましょう。

痛みや痺れ、そのほかの後遺症が残りそうな場合

痛み痺れが最も多いケースですが痛み痺れなどの後遺症が残りそうな場合や、関節が曲がりにくいなどの関節機能障害や、見える部分に傷跡が残ってしまった場合、歯が抜けた視力が落ちた聴力が落ちたり、そのほかの後遺症が残りそうな場合も、ぜひ弁護士に相談した方が良いです。

入院した場合

入院した場合は、ぜひ弁護士に不利益がないか相談をしましょう。

重症な場合

重症な場合は、必ず弁護士に相談するのが良いです。とくに脳挫傷脳損傷高次脳機能障害脊髄損傷半身不随遷延性意識障害などの場合は。

死亡事故

死亡事故は必ず弁護士に相談すると良いです。ほとんどのケースで賠償金が大きくあがります。

交通事故に強い弁護士とは?

いわゆる「交通事故に強い弁護士とは、交通事故の知識や経験が豊富で、交通事故の事件処理に詳しく手続きや交渉で被害者にベストな損害賠償請求をしてくれる弁護士のことです。

交通事故に強い弁護士のランキング

下表のような、交通事故の弁護士ランキングを見たことがありませんか?

ランキングについて

このような弁護士のランキングを見かけたら、注意が必要です。自作自演の場合は景品表示法で禁止されている優良誤認表示(景表法5条1項)となりえます。

Googleマップ(Googleビジネスプロフィール、旧Googleマイビジネス)の口コミ

依頼者に口コミを適切な形でお願いして適切に口コミをもらっている弁護士法人もありますので、一概には言えませんが、弁護士の場合は少ないのが普通ですので、あまりに多い口コミ数で、しかも全てで星5つの場合は、少し注意して見る必要があります。医療機関や弁護士法人の場合は感謝している人は口コミを書かないことも多くあります。

交通事故で弁護士に依頼して後悔しない?

後悔は主観的な感覚のため、断言はできませんが、多くの場合は交通事故で弁護士に依頼したほうが、むしろ後悔は減るでしょう。

交通事故で弁護士特約は使える?

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、被害者が契約している保険(保険会社の保険商品)の特約としてついているものです。多くの場合は被害者が弁護士に依頼した場合に、その弁護士費用を300万円などを上限として保険会社が支払います。そのため被害者としてはご自身が受け取る賠償金が大きくあがっても、弁護士費用は自己負担としては1円も支払う必要がないケースが多く、被害者にとって嬉しい特約といえます。

交通事故で弁護士費用特約は使えるか

交通事故で、弁護士費用特約は使えます。自分の保険だけでなく、配偶者や同居の親族などの弁護士費用特約も使えることも多いです。一度ご確認をされると良いでしょう。

交通事故にあったら病院はどこ(何科)に行けばいい?

交通事故にあったときに病院の場合、病院で何科に行ったらいいかわからないという問題があるでしょう。一番安心なのは、総合受付などがある病院です。総合病院であれば、ご自身の症状や心配なことを話し、受付で聞くことをおすすめします。

ただ、これも病院にかかる時間帯や、総合病院ではなく、単科の開業医にかかる場合は難しいです。そこで、おおよその判断について説明します。まず、車に乗っていて、シートベルトをしていたケースに多いのですが、頭をぶつけた様子はなく、むちうちが心配という場合が考えられます。この場合でしたら、整形外科の受診をおすすめします。頸椎だと整形外科で担当するケースが多いからです。ただし、頭もぶつけたという場合でしたら、脳外科に行くことで頭と頸椎の両方を診てもらえるでしょう。

次に、頭をぶつけたかどうかの記憶がなく、顔を負傷している場合ですが、これも脳外科受診をおおすすめします。ポイントとなるのは、顔を含んで頭部に負傷、もしくは負傷の心配があれば脳外科だと思ってください。
ただし、事故が原因で歯が欠けたり顎の骨に異常があったりする場合は口腔外科で診ることもあります。四肢についての骨折や傷がある場合は整形外科になります。総合病院の場合は、一つの院内に脳外科・整形外科の双方の科があるので、一連で診てもらえますが、近くにそういった医療機関がない場合は、頭部と四肢で負傷の度合いの大きい方を受診し、受診先で紹介状を書いてもらうのも一つの方法です。また、弁護士への相談も欠かせないでしょう。