個人再生は債務整理のなかのひとつで、マイホームを維持しながら大幅に借金を減額できる法的手続きです。個人再生を行うには任意の債権者との話し合いでは足りず、裁判所に申し立てをして認めてもらう必要がありますので、基本的に弁護士への依頼が必要です。
個人再生とは、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらい住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらう法的手続きです。債務整理の一種です。
個人に認められている民事再生手続には、下記3種類があります。
- (通常の)民事再生手続
- 小規模個人再生手続
- 給与所得者等再生手続
通常の民事再生手続は個人にも認められていますが、手続きが厳格なため個人にあまり利用されず、個人は小規模個人再生手続か給与所得者等再生手続を利用する場合が多いです。
個人再生手続には下記のようなメリットがあります。
- マイホームは手放さないですむ
- 大幅に借金が減額される
- 住宅や生命保険など高価な財産を維持できる
借金が大幅に減るのに、マイホームなどの財産を維持できるのが大きなメリットです。
個人再生手続には下記のようなデメリットがあります。
- 借金が減額されるが、ゼロにはなるわけではない
- 住宅ローンは減額されない
- 信用情報機関に登録される(数年間は新しい借金やローンの利用が制限される)
個人再生をすると、信用情報機関に登録されます。そのため、数年間はクレジットカードの利用が制限されます。
弁護士費用として大体50万円程度がかかり、その他、裁判所が個人再生委員を選任した場合は、個人再生委員への報酬が必要です。
個人再生は自分で行うのは困難なため、ここでは弁護士に依頼する前提で、個人再生の手続きに必要な書類例を紹介します。各書類は弁護士が作成をサポートしてくれると思いますし不明な点があれば質問をして間違いないように作成しましょう。
個人再生をする場合は、必要書類は数多くあります。ご自身で作成するのは非常に大変ですが、弁護士に申立人代理人となってもらうよう依頼すれば弁護士が作成してくれたり色々なサポートをしてもらえます。必要書類は裁判所によって多少異なりますので具体的な必要書類は弁護士に確認しましょう。
- 再生手続開始申立書
- 収入および主要財産一覧
- 債権者一覧表
- 委任状
- 住民票の写し
申立時またはその後に速やかに提出する書類を、小規模個人再生の場合と給与所得者等再生の場合に分けて紹介します。
- 確定申告書、源泉徴収票そのほか再生債務者の収入額を明らかにする書面
- 個人再生委員が指示する書面
- 源泉徴収票または課税証明書
- 個人再生委員が指示する書面
書類に本当のことを書かない(例:バレたくない人について債権者一覧表に記載しない、等)
これらは絶対にしてはいけません。
個人再生を弁護士に依頼すれば、個人再生の手続きに関する裁判所からの書類などは弁護士の法律事務所に送付されます。そのため、家族にバレずに手続きを済ませる可能性はあります。
ただし、家族が債務の保証人になっていたり家族に収入があるなど個人再生の債権債務の整理に家族の所得証明書や確定申告書の収集など協力が必要になる場合は、家族に知られる可能性は高いです。
また個人再生をすると、後述の3回のタイミングで氏名・住所等が官報に掲載されます。官報は全国民に公開されるものですので、当然家族も見ようと思えば確認ができます。そのためもし家族が官報を見れば、個人再生をしたことは家族に知られることとなります。
もしご不安であれば、個人再生に精通する弁護士に具体的にご自身のケースで家族にバレる可能性がどれくらいあるか聞いてみると良いでしょう。
個人再生をすると会社にバレないか心配な方も多いと思います。基本的にはお勤めの会社に連絡や個人再生の書類が届いたりなどはありませんので大丈夫です。
しかし、場合によって個人再生をすることが会社に知られる場合もあります。
もし会社からも借り入れがあったり、債権債務に会社が関係している場合は、必ず会社にはバレます。もし会社からお金を借りている場合は会社が債権者となりますので、債権者一覧表に会社が掲載され通知が会社にいくからです。
また場合により退職金見込額証明書などを会社に発行をお願いしなければいけなくなった場合など、発行の理由を聞かれた場合にバレるリスクが生じます。
もし会社にどうしても知られたくない、という事情があれば弁護士によく相談しましょう。
個人再生をすると、合計3回、官報に掲載されます。
個人再生をすると、下記3つのタイミングで官報に掲載されます。
- 再生手続き開始決定時
- 書面決議時
- 再生計画の認可決定時
官報とは、日本政府・各府省が日本国民に対して、法律・政令・条約等の公布を知らせたり、公文や公告、会社法が定める事項を、掲載するものです。
官報は内閣府が休日を除く毎日発行し、国立印刷局と東京都官報販売所で掲示されインターネットでも配信されます。
「特定調停」とは、民事調停のひとつで、専門知識を有する調停委員が当事者間の合意形成を図る法定な債務整理手続きです。裁判所の個室などで行われるものの、あくまで話し合いとなりますので、
個人再生は債務整理のひとつの手段です。個人再生は債務整理に包含される一つの手続きとなります。
最も大きな違いは、裁判所を通すか通さないかの違いです。
任意整理では、裁判所は通さずに債権者と話し合いをします。一方で個人再生は裁判所に申し立てを行う手続きとなります。
「民事再生」は再建型の倒産手続きです。債務者が現状の商売を続けながら、債権者の法定多数により可決された再建計画に基づき商売の再生を行う手続きです。
民事再生は、会社も個人も対象としています。しかし現実的には個人の場合は民事再生は手続きの厳格さなどから利用しにくいです。そこで民事再生法の特則として新設されたのが個人再生手続きです。
通常再生とは、個人再生ではない民事再生のことを指します。
そのため個人再生と通常再生との違いは、どちらも民事再生の手続きですが、個人再生かそうでない(通常再生)かという違いです。
司法書士は、簡易裁判所における訴額140万円以下の民事事件の相談や代理を行えます(司法書士法 3条)。
一方で、弁護士にはこのような制限はありません。
個人再生は、地方裁判所に申し立てる必要があります。そのため司法書士は代理人となることができません。もし司法書士に依頼する場合は、司法書士が個人再生でできるのは書類を作成することのみですので、裁判所への申し立ては司法書士はできず、ご自身ですることになります。
そのため、個人再生は最初から弁護士に依頼するのがおすすめです。
ブラックリストに載るとは、事故情報として金融機関が参照する信用情報機関に登録されることをさします。
個人再生をすると、信用情報機関に登録されますので、ブラックリストに載るということになります。