任意整理とは?任意整理のメリットとデメリット、費用について

任意整理とは

任意整理とは、債務者が債権者と個別に交渉し、債務者が支払い可能な額や期間での返済で債権者に任意合意してもらう手続きです。

任意整理の特徴

任意整理には、下記の4つの特徴があります。

  1. 任意整理では、裁判所を利用しません
  2. あくまで「任意」で和解をまとめる手続きのため、債権者が拒めば、まとまりません(任意整理は失敗)。
  3. 弁護士が交渉しないとまとまらないことが多いため基本的には弁護士に依頼して行う手続きとなります。
  4. 返済の分割は3年程度の返済で、最大で5年までとする債権者が多い。

任意整理のメリット

任意整理には下記3つのメリットがあります。

  1. 官報には載らない
  2. 毎月の借金の返済額を減額できる
  3. 将来の利息遅延損害金をカットできる

裁判所を利用する手続きではないため、自己破産個人再生と異なり、任意整理では官報には載りません

任意整理のデメリット

任意整理デメリットとして下記3つがあります。

  1. ブラックリストに載る
  2. 借金の元金(借りた金額自体)が減らせるわけではない
  3. 継続して返済するための返済能力・収入が必要
  4. あくまで任意のため、債権者が拒否すればまとまらない
  5. 債権者によっては、将来の利息や遅延損害金のカットができず、分割返済期間も3年未満となることもある

あくまで任意の手続きのため、債権者が拒否すると成立しません。

任意整理の注意点

任意整理をするとブラックリストに載るため、しばらくの新しい借金やクレジットカードの利用はできません。

任意整理の流れ

任意整理の流れ1
弁護士への相談・依頼

弁護士事務所に相談します。依頼することを決めたら、弁護士と委任契約をします。

任意整理の流れ2
弁護士から債権者へ受任通知

依頼された弁護士は、代理人となり、任意整理手続きを依頼者に代わって進めることができます。任意整理で交渉をする債権者に対して弁護士が代理人となったことを通知します。この通知は、受任通知と呼ばれます。

任意整理の流れ3
債権者からの取り立てが止まり、借金の支払いも一旦停止します

弁護士から受任通知を受け取った債権者は債務者への取り立てを停止し、借金の支払い自体もいったん停止となります。

任意整理の流れ4
取引履歴を取り寄せ債権調査。必要に応じ、引き直し計算

債権者にいくらの借金があるか、調査します。弁護士から債権者に取引履歴書を請求します。利息制限法による引き直し計算(利息制限法での金利での再計算)が必要な場合は計算します。

任意整理の流れ5
債権者へ和解案を提案し、交渉

弁護士と一緒に分割返済案を作成し、債権者に提案します。ここは弁護士が債権者に対して行いますので債務者は弁護士が行う交渉の進行を待つことになります。

任意整理の流れ5
債権者との合意が成立後、和解書作成

債権者との合意ができれば、和解書(分割返済合意書)を作成し債権者との間で締結します。

任意整理の流れ6
返済を開始し、任意整理が終了

合意に基づき借金の返済を再開します。任意整理は終了です。

任意整理の費用

任意整理の費用の相場は、債権者1社あたり3万円から15万円程度です。

例えば、債権者が3社あった場合は、9万円( = 3万円×3社)~45万円(= 15万円×3社)となります。

これは任意整理にかかる弁護士費用です。このほかに借金の返済が必要です。

日本弁護士連合会(日弁連)の「債務整理事件処理の規律を定める規程」

弁護士費用について、現在の日本では一律の基準はありません。しかし日本弁護士連合会(日弁連)は、債務整理と過払い金返還請求に関してはルール(「債務整理事件処理の規律を定める規程」及び同規程施行規則)を定めています。

債務整理事件処理の規律を定める規程

2011年4月1日以降に弁護士が受任した債務整理事件は、このルールに従う必要があります。

参考:債務整理事件処理の規律を定める規程施行規則